肺気腫とは
程度の差はありますが、たばこの1日の本数×年数が700以上の方は既にかかっている可能性が高い病気です。日本では500万人以上の患者さんがいるといわれています。主な症状は慢性の咳、痰と息切れで、進行すると階段や坂道も昇れなくなり、酸素ボンベなどによる吸入が必要になります。しかし、病気の進行がゆっくりであるため、重症化して気づかれることが少なくありません。
肺は呼吸で取り入れた酸素を血液中に送り込み、体内で不要となった二酸化炭素との交換をしています。その交換を担っているのが、肺胞とよばれる気管支の先にあるぶどう状の小さな袋です。この肺胞という袋は数億個もあって、その壁には細い血管が張り巡らされています。たばこを吸うと、その煙に含まれる化学物質が、肺胞を溶かしてしまうのです。肺胞がこわれると、肺胞の表面積が減るので酸素と二酸化炭素の交換の効率が低下します。また、肺の弾力がなくなって肺が収縮できなくなり、吸った空気をうまく吐けなくなるのです。進行すると、肺が過膨張するため、横隔膜が下がり、ビール樽のような胸郭になります。治療は禁煙が第一です。禁煙により肺気腫の進行を抑えることができます。しかし、残念ながら禁煙しても壊れた肺胞は再生しませんし、加齢に伴いゆっくりと悪化します。そのため、できるだけ早期の禁煙が大切です。最近では、症状を緩和させたり、肺機能や運動能力を高める薬も出てきました。喫煙歴があり、息切れや痰、咳などの症状がある方は専門医の診察をお勧めします。